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血の染み付いた手帳

しがない傭兵が偽りの島で過ごした日々の記録
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  • :04/26/13:51

05152124 Day02 -遺跡-

   -0-

昨日と同じ道を辿って、魔方陣のある大広間まで降りてきた。
そこには二つの魔方陣があり、恭平と同じように島へとやってきた冒険者で溢れていた。

一人のもの、三人でチームを組むもの、それ以上の大多数で行動を共にするものなど、
それぞれが思い思いに話し合い、どちらの魔方陣から進むかを決めている。

階段の途中で、壁にもたれかかるようにしながら、
恭平はその光景を眺めていた。

どうせ探索をするのならば、人は少ない方がやりやすい。
各冒険者たちがどのような道を選択するかを見届けてから遺跡へと侵入するつもりだった。

早いものはやって来てすぐに、
遅いものでも小一時間ほどたっぷりと時間をかけて、
行く先を決めた者たちは遺跡の中へと歩みいる。

「そろそろ、俺も行くか…」

ひとりごちて、恭平は荷を背負った。
たいして大きくないバックパックの中には、探索中の食料などが詰め込まれている。

一度潜れば、しばらく日の目を浴びることはできないだろう。

寝坊をしてしまったのか、大慌てで魔方陣に飛び込む少女を見送って、
恭平は魔方陣に足を踏み入れた。

体が不思議な浮遊感にとらわれ、恭平の意識は薄らいで途切れた。

   -1-

一瞬の断絶の後、意識を取り戻すと、先ほどとは別の大広間に恭平は立っていた。
頭がズキズキと痛む。どうも、魔方陣を使用しての移動とは相性が良くないらしい。

薄闇に慣れてきた目で周囲を見渡すと、
先ほど見送った幾人かの冒険者が、次の行き先を決めかねてか方々で足踏みをしていた。

恭平もまた、様子見を決め込んで、広間の片隅に腰をおろす。
これからの日々は長い、慎重になりすぎるということはないだろう。

依頼は果たす。

だが、それ以上に生き残ることこそが大切なのだ。

そのとき、

腰を下ろして、荷物の整備を行おうとしていた恭平の後ろに何者かの気配が生じた。

獣の臭いがする――。
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