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血の染み付いた手帳

しがない傭兵が偽りの島で過ごした日々の記録
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  • :05/07/03:46

05080012 Day01 -拠点-

太陽が中天に差し掛かるころ、舟が港に着いた。

さしたる確認もなく、久方ぶりの陸地へとあがる。
どうやら、文化レベルはさほど高くないらしい。

潮の臭い漂う漁港と市場を通り抜けて、
小高い丘へと続く裏通りに、それはあった。

年代を感じさせる、古びた一軒家。
だがしかし、前の持ち主によるのだろうか、手入れは行き届いている。

今回の依頼者からあてがわれた、
滞在中の拠点となる場所だ。

一階と二階とが独立した部屋になっているらしい。
どちらかを寝室にして、片方を物置にすることにしよう。

一階の扉を開くと、取り付けられたベルが済んだ音をたてた。

うっすらと埃の積もった室内は、それさえ除けば小奇麗といっていいだろう。
前の持ち主が残していったものか、女性趣味的なアンティーク家具が並んでいる。

カウンター奥のキッチンは、俺一人には広すぎるぐらいだ。
そもそも俺は料理ができない。宝の持ち腐れというやつだ。

どことなく可愛らしい部屋に、男が一人。
不思議と母親のことを思い出す。

そういえば、彼女がこういった家具や装飾を好んでいたような気がする。

まあいい、どんな部屋であろうと。
寝れさえすれば仕事はこなせるのだから。

むしろ、屋根があるだけでもありがたいぐらいだ。

埃臭い部屋もそれはそれで御免だけれど。

どのみち今日はもう動けない。
窓を開けて、部屋の片づけを行うこととしよう。

遺跡の探索は、明日から始めればいい――。
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