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血の染み付いた手帳

しがない傭兵が偽りの島で過ごした日々の記録
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  • :02/12/09:38

05152124 Day02 -遺跡-

   -0-

昨日と同じ道を辿って、魔方陣のある大広間まで降りてきた。
そこには二つの魔方陣があり、恭平と同じように島へとやってきた冒険者で溢れていた。

一人のもの、三人でチームを組むもの、それ以上の大多数で行動を共にするものなど、
それぞれが思い思いに話し合い、どちらの魔方陣から進むかを決めている。

階段の途中で、壁にもたれかかるようにしながら、
恭平はその光景を眺めていた。

どうせ探索をするのならば、人は少ない方がやりやすい。
各冒険者たちがどのような道を選択するかを見届けてから遺跡へと侵入するつもりだった。

早いものはやって来てすぐに、
遅いものでも小一時間ほどたっぷりと時間をかけて、
行く先を決めた者たちは遺跡の中へと歩みいる。

「そろそろ、俺も行くか…」

ひとりごちて、恭平は荷を背負った。
たいして大きくないバックパックの中には、探索中の食料などが詰め込まれている。

一度潜れば、しばらく日の目を浴びることはできないだろう。

寝坊をしてしまったのか、大慌てで魔方陣に飛び込む少女を見送って、
恭平は魔方陣に足を踏み入れた。

体が不思議な浮遊感にとらわれ、恭平の意識は薄らいで途切れた。

   -1-

一瞬の断絶の後、意識を取り戻すと、先ほどとは別の大広間に恭平は立っていた。
頭がズキズキと痛む。どうも、魔方陣を使用しての移動とは相性が良くないらしい。

薄闇に慣れてきた目で周囲を見渡すと、
先ほど見送った幾人かの冒険者が、次の行き先を決めかねてか方々で足踏みをしていた。

恭平もまた、様子見を決め込んで、広間の片隅に腰をおろす。
これからの日々は長い、慎重になりすぎるということはないだろう。

依頼は果たす。

だが、それ以上に生き残ることこそが大切なのだ。

そのとき、

腰を下ろして、荷物の整備を行おうとしていた恭平の後ろに何者かの気配が生じた。

獣の臭いがする――。
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05080012 Day01 -拠点-

太陽が中天に差し掛かるころ、舟が港に着いた。

さしたる確認もなく、久方ぶりの陸地へとあがる。
どうやら、文化レベルはさほど高くないらしい。

潮の臭い漂う漁港と市場を通り抜けて、
小高い丘へと続く裏通りに、それはあった。

年代を感じさせる、古びた一軒家。
だがしかし、前の持ち主によるのだろうか、手入れは行き届いている。

今回の依頼者からあてがわれた、
滞在中の拠点となる場所だ。

一階と二階とが独立した部屋になっているらしい。
どちらかを寝室にして、片方を物置にすることにしよう。

一階の扉を開くと、取り付けられたベルが済んだ音をたてた。

うっすらと埃の積もった室内は、それさえ除けば小奇麗といっていいだろう。
前の持ち主が残していったものか、女性趣味的なアンティーク家具が並んでいる。

カウンター奥のキッチンは、俺一人には広すぎるぐらいだ。
そもそも俺は料理ができない。宝の持ち腐れというやつだ。

どことなく可愛らしい部屋に、男が一人。
不思議と母親のことを思い出す。

そういえば、彼女がこういった家具や装飾を好んでいたような気がする。

まあいい、どんな部屋であろうと。
寝れさえすれば仕事はこなせるのだから。

むしろ、屋根があるだけでもありがたいぐらいだ。

埃臭い部屋もそれはそれで御免だけれど。

どのみち今日はもう動けない。
窓を開けて、部屋の片づけを行うこととしよう。

遺跡の探索は、明日から始めればいい――。

05020217 Day00 -揺れる舟-

新しい任務が届いたのは、一週間程前のことだった。

湿気と飛び交う虫が最大の敵だった密林の奥地から、
今はこうやって海の上、頼りない小船に揺られている。

次の戦場は、海に隣接した山岳地帯。
依頼主は現政府に反抗している共和派のゲリラ……。

その主義主張など知ったことではない。
傭兵は対価さえ貰えるなら悪魔の味方だとてする。

それが仕事だからだ。

虚しさを覚えることには、もう、飽きた。

仕事から逸脱しない範疇で、俺は、俺の戦いをするだけだ。

墨を流したかのような海。
その鏡面に反射して、星空が瞬いている。

まるで宇宙に彷徨いこんでしまったかのようだ。

それにしても――。

この通達とともに送られてきた、案内状。

これはいったいどういう意味なのか。

「島 遺跡 退屈をしている諸君」

記されているキーワードは通達からかけ離れている。
同じ封筒に入っていたが、まったく共通点が見出せない。

これも、現地につけば分かるのだろうか。

夜はなおも深い。

今日は眠ることにしよう。

04240203 リセット後

探索日数25日で一度リセットされます。

ありがとうございました

04170024 曇り空

曇り空から差し込む陽射しが、
小さな家の窓から部屋を照らした。

可愛らしいピンク色の部屋は、
主が長く戻らないのか、どこかくすんでしまっている。

埃の積もった化粧台の上で、
ウサギ柄のエプロンを着けた金髪の人形が

うっすらと微笑んでいた……。