血の染み付いた手帳
(11/09)
(10/18)
(07/16)
(06/15)
(06/15) |
|
02021343 | [PR] |
03131803 | 18日所感 |
03131718 | ホワイトデー♪ 1日目 |
ふふ、イベントがたくさんって嬉しいわねぇ♪
主催者のはからいか、無料でキャンディも渡せるようだけど――
ホワイトさんは、噂の彼女にキャンディを渡せるのかしら?
気になるところもたくさんねぇ♪
私もたくさんお礼をいただいて、とっても胸がいっぱいよぉ。
皆さんのこと、好きになっちゃいそうだわ♪
03110432 | 17日目 階段上練習試合 前編 |
石段上の戦い 前編
□登場人物
≪ドキドキ・クッキング≫
□キョウ子――旅の乙女。短剣と一体化したフィストグローブを武器に戦う。
□プリムラ――錬金術師の兄をもつ少女。斧を軽々と振るう怪力の持ち主。
□モッカヴィル――巨大蟻の貴族。キョウ子を思慕し、忠誠を誓っている。
□巨大蟻――モッカヴィルとは別種の巨大蟻。
≪TC三番隊・チェインパンサー≫
■フォウト――ストイックな女性の元傭兵。
■エゼ――ハーフエルフの好青年。弓の腕は一級品。
■ナミサ――青髪の魔術師。常に冷静な切れ者。
0
乾いた風が大地に敷き詰められた白砂を巻きあげた。
壁面に地上へと繋がる亀裂がはしっているのだろう。中空に吹きあがった砂粒に、差し込む陽が反射して幻想的な輝きを放った。
そしてそのまま、煌めきは風に吹かれて散り散りに消えていく。
真紅の獣を従えた少年を打ち倒した冒険者たちが目の当たりにしたのは、砂の滝が降りそそぐ回廊だった。
静謐な空気を湛えた回廊は、昼には穏やかな陽が差し込み、まるで柱のようにも見える流砂の滝が照らしだされる。
逆に、夜ともなれば、回廊は完全な闇に閉ざされ、砂の流れる音だけが木霊し耳を打った。
訪れたものは思うだろう『砂の神殿』と。
しかし、そんな神秘的な印象とは裏腹に、そこは巨大な生物の闊歩する危険な地でもあった。
今、その最奥の壁面に穿たれた穴を覗き込んでいるのは、そんな死地を潜り抜けてきた冒険者たちである。
影は四つ。そのうち二つは、人間のものではない。
人間のものは、キョウ子と、プリムラの二人であった。
残る二つの影。
これはキョウ子に従うモッカヴィルと、プリムラの連れた巨大蟻のものである。
その二人と二匹が、壁面の穴を覗き込んでいた。
否、正確には、その奥深くと続く石造りの階段を、である。
崩れた壁面の奥に覗くのは、遙か深淵へと続く巨大な階段であった。
その幅は大人が数十人も並んで下りれるほどにあり、続く先は闇にのまれており見ることができない。
それほどまでに階段が続く先は、深い。
再び吹きつけた風が、砂を舞い上げキョウ子はその逞しい片腕で目を覆った。
乾いた風は階段の奥底から吹きあげている。
つまり、先が何処かへと続いている証拠である。
「キョウ子さん……行くの?」
プリムラが隣に立つキョウ子を見上げて、そう問いかけた。
表情に乏しいその顔が、いつになく緊張に強張ってみえる。
「うぅん、ここまで来て、引き返すのもねぇ……。
ちょっと、下を覗いてみるぐらいなら大丈夫じゃないかしら?」
髪についた砂を払いのけながら、キョウ子は答えた。
いまだ吹き続ける風に目を細めながらも、その目は階段の深奥を捉えて離さない。
その目の奥底に輝くものがあった。
それを言葉で言い表すならば『好奇心』と言い換えるのが正しいだろうか。
「行きましょう♪」
微笑んで、崩れた壁の残骸へと足を進めた。
それに付き添うようにして、モッカヴィルが後へと続く。
既に方々では地下二階へと繋がっている階段が発見されていると伝え聞く。
この階段もその一つなのであろう。
それと同時に聞いている、噂があった。
地下二階に住むのは動物ではない、魔物である、と。
果たして自分の力で太刀打ちすることができるのだろうか。
そんな思いに逡巡しながらも、プリムラは大地を蹴った。
瓦礫を踏み越え、階段へと続く道の途中で彼女を待つ大柄な乙女のもとへと。
03092253 | 17日所感 |
03012343 | 15日を過ごして16日 |
日を数えてみると、ほんの短い間に思えるけれど、まるで数ヶ月を過ごしたかのよう。
本当に遠くまで来たものと思う。
久しぶりに戻った自分の部屋は、うっすらと埃が積もっていた。
そのうえに幾人かの足跡が残されている。
留守の間に来客があったのかしら?
無用心と思われるかも知れないけれど、私は部屋に鍵をかけていない。
島の通りの片隅に借りたこの家は、エプロン愛好会のアトリエとしても解放している。
部屋に置いてあるものは、料理の道具や下着類など、生活に最低限必要なものだけ。
泥棒の心配をする必要はない。
冒険者の暮らしとはそういうものだ。
思えば昔から、鍵のかかる建物で生活をしたことなんてなかったかもしれない。
荷物を抱えて、部屋の中へと踏み入る。
と、机の上に残された、幾枚かの書置きを発見した。
荷物を足元にそっと下ろして、書置きを手にする。
それは、先日送ったチョコレートのお礼や、
エプロン愛好会に参加している乙女たちからのメッセージだったり。
ついつい クスクス と笑みがこぼれた。
人との関わりを愛するようになったのはいつからだろう。
日本という極東の島国で、彼女と出会ってからだろうか。
それらのメモ書きを買ったばかりのメモ帳に挟んで、旅荷物の底に押し込めた。
久々の帰宅だが、のんびりしてばかりもいられない。
次回の探索に向けて、買い物はもう済ませてある。
元気の良い少年と厳しい老人の経営する商店は、満足のいく品を提供してくれた。
出立は今夜。それまでは自由な時間を与えられている。
流樹の間抜けが街に帰還したのは今朝方のことだけれど、それは自業自得よね。
また、しばらくは留守にするのだから、少しは部屋を綺麗にしておいてあげなくちゃ。
それに、いつまでもこのアトリエが無名というのも可哀想。
私はそれを荷物から探し出して、再び部屋の外へと戻った。
『Para To Amor』 ―― 全てはあなたの愛の為に。
そう記された看板を部屋の入り口に掲げる。
それだけのことで、なんだか部屋がより自分に近づいたように感じられる。
これからもよろしくね。
看板を見上げて、そう声をかけた。
これで一人だけの命名式は終わり。
さあ、掃除を始めよう。
掃除が終わったら、新しくオープンしたという冒険者の酒場を訪れるのも悪くはない。
私は部屋の窓を大きく開け放つ。
春を間近に感じさせる風が、部屋を爽やかな梅の香りで満たした。